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池上 郁弥

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東京モノレールに乗ったことがある方は見たことがあるかもしれない。

浜松町を出て京浜運河を渡った先に広がる「要塞のような高層団地たち」を。

八潮パークタウン。

​人工島に広がるこの団地群は、工業地帯と運河に挟まれながら住人生活を優しく見守っている。

目次

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【住所】東京都品川区八潮

【交通】東京臨海高速鉄道りんかい線品川シーサイド駅から徒歩15分〜25分程度

りんかい線品川シーサイド駅を降り、八潮橋から京浜運河を渡ると見える高層団地群。

公団(現UR都市機構)・東京都住宅供給公社・東京都のいわゆる住建三者により作られたニュータウンである。

街は12の街区に分かれており、それらの街区をペストリアンデッキや遊歩道で繋げたような構造となっている。

団地概要

団地概要
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Yashio-Park-Town

団地巡り

団地巡り

人工島の要塞。

東京都品川区の端、京浜運河の向こう側にある人工島に広がるニュータウン、八潮パークタウン。「モノレールで羽田空港に行く途中に車窓から見える団地群」というと分かりやすいかもしれない。

住宅・都市整備公団(現:UR都市機構)・東京都住宅供給公社(JKK東京)・東京都のいわゆる住建三者により計画されたこのニュータウンは、それぞれの運営の団地、スーパーや病院、学校などが設置されている。

今回は、人工島の要塞 — 八潮パークタウンの魅力や特徴を見ていこう。

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全体について

八潮橋からみた全体像は圧巻である。

12街区に分かれている。

12街区に分かれて広がる、高層棟たち。

八潮橋からニュータウン全体を観察すると、高層棟が林立しておりサイバーパンク感がある。八潮パークタウンは先述の通り住都三者により計画されたのであるが、統一感のある景観を実現するため、住棟は妻面のタイルなどの意匠が揃えられている。(分譲棟や旧雇用促進住宅など、例外あり)

街は12の街区に分かれ、中央に位置する11番地区を中心に遊歩道やペストリアンデッキで繋がっており、多摩ニュータウン同様歩車分離が進んでいる。11番地区にはショッピングセンターや郵便局、行政施設などが集まっており、ニュータウン内の地域センター的役割を担っている。

近くに首都高大井ジャンクションやJR東海の新幹線車両基地などがある関係で、ニュータウン東側には高層棟が防音壁のように集中配置されている。このあたりはURの川口芝園団地の配棟設計にも通じるかもしれない。

​以下、各運営法人・自治体などから、その特徴に迫っていこう。

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UR都市機構

潮路南第一ハイツの高層ポイント棟。

潮路中央ハイツ。ニュータウン中央部にそびえるツインコリダー構造の高層棟。

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潮路南第一ハイツ。

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旧公団分譲、潮路南第二ハイツ。高層階段型構造の珍しい棟。

一面に広がる中層棟の海と、ランドマークの高層棟。

現在UR都市機構では、ニュータウンを貫く八潮中通りの西側で、賃貸団地を3カ所(潮路北第二ハイツ・潮路中央ハイツ・潮路南第一ハイツ)運営している。旧公団時代(住宅・都市整備公団)はこの他にも分譲団地3カ所(潮路北第一ハイツ・潮路東ハイツ・潮路南第二ハイツ)の開発運営、中央部にあるショッピングセンターの運営なども行なっていた。

賃貸棟は意匠の統一がなされているが、分譲棟は高層階段型やスキップフロアー構造など独自性あふれる住棟も存在している。

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東京都住宅供給公社(JKK)

コーシャハイム八潮。高層棟の一角にふさわしい、威風堂々とした佇まいだ。

JKK名物の看板。

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JKKが管理する棟の周りは歩道橋となっており、11街区と直接つながっている。

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奥側は旧公社分譲住宅、シティコープ八潮浜。こちらは低層棟である。

高層棟の海に花を添える、JKK管理棟。

東京都住宅供給公社(JKK)は、賃貸住宅(コーシャハイム八潮・コーシャハイム八潮南)を運営している。またJKKが分譲住宅事業から撤退するまでは、公社分譲住宅としてシティコープ八潮浜などの運営管理も行なっていた。UR賃貸住宅・都営アパートに比べると棟数は少ないが、独自色があり威風堂々とした棟は頼もしさすら感じる。

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都営アパート(東京都)

都営八潮五丁目アパート43号棟。

高層棟からは街を一望することができる。

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老人室を備え、バリアフリー配慮型の48号棟。

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北側に位置する4号棟は、階段室を中心にコの字型になっている変則型。

ニュータウン各地に散らばる、都営アパート。

都営アパートは「都営八潮五丁目アパート」として、ニュータウン内各地に点々と存在している。高層棟が主ではあるが、48号棟など一部バリアフリー型の低層棟も存在している。同時期に街びらきをした光が丘パークタウンと住棟の構造は似通っている。

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ビレッジハウス(旧:雇用促進住宅)

独自の意匠が目を引く品川八潮タワー。整った曲面が美しい。

ビレッジハウス管理になった際、改修が行なわれた。エントランスはさながらマンションのよう。

異彩を放つ一棟。

かつて雇用福祉事業として高齢・障害・求職者雇用支援機構が管理運営していた雇用促進住宅。制度廃止後、物件等はソフトバンクグループ傘下の米国投資会社に売却され、現在「ビレッジハウス」として賃貸住宅になっている。八潮パークタウンには「ビレッジハウス 品川八潮タワー」として1棟存在している。

階段部分が一部丸みを帯びる独特の造形は、URや都営では見られない独特なもの。

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その他

数カ所にバランス良く配置されている公園たち。

パトリア品川。

バランスよく配置された施設たち。

八潮パークタウンは地中海の街をテーマに開発されたと言われており(諸説あります)、緩やかな弧を描く遊歩道や意匠的な配棟など、住みやすさを最大限配慮した街づくりがおこなわれている。学校や公園は街の中にバランスよく配置されており、彩りを添えている。行政施設や郵便局、ショッピングセンターやコンビニは中央部の11番地区にまとめられており、街の地区センター的な役割となっている。

中心にはパトレア品川というショッピングセンターが設置されているが、これは旧公団運営で現在はUR都市機構傘下の会社が運営を行なっている。

Danchi Gourmet

​団地グルメ

肉のヤマキ商店 パトリア品川店

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11番地区に住棟以外の施設が集中している八潮パークタウン。その中にあるパトリア品川(ショッピングセンター)には、インド料理屋やパン屋などの飲食店もある。今回「団地グルメ」でご紹介するのは、肉のヤマキ商店パトリア品川店。肉屋として創業した肉のヤマキ商店は、現在焼肉・揚げ物・丼物などを提供する飲食店を国内23店舗展開している。

今回はコロッケをテイクアウト。ザクザクした衣は食欲をそそり、ホクホクのじゃがいもが演出する具は何個でもいける軽やかさ。牛肉は大ぶりにカットされており、食感にアクセントを持たせている。

(この後メンチカツも食べてしまったのであるが、肉汁溢れるジューシーさが最高であった)

所在地 :〒140-0003 東京都品川区八潮5-5-3 パトリア品川1F

営業時間:10:00~21:00

https://nikuno-yamaki.com/index.html

作品撮り
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作品撮り

「冬浅し蕭条とする固き箱」

統一感ある妻面の茶色タイル。美しく整った住棟たちの意匠。そこに動きを持たせる回遊性の高い遊歩道や自然たち。経済成長で、住宅が「雨風を凌ぐための存在」から「人がより良く生きていくための存在」に変わりつつあった頃。団地はより先へと進む、言わば「理想的な都市・住居を実現するための実験場」でもあったと思う。前衛的な都市工学理論を積極的に取り入れ、後世に生かす。そのケーススタディのひとつが八潮パークタウンであると思う。

そんなこの街の「色・意匠」とのコントラストを意識しながら撮影した。

​モデル紹介

Model

水溜さとみ

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路上観察少女🏢
懸命に不真面目に路上で世界を観察しています

アーカイブス

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八潮パークタウンが”街びらき”したのは1983年(昭和58年)、バブル景気前夜。その頃は昭和アイドルが日夜テレビを席巻し、日本はバブル景気へとひた走り、辺りはモノコック型バスにあふれていたのであろう。

 

ニュータウンに夢と希望を持って入居した住人とともに、40年あまり日本の変化を見守ってきた団地たち。景気は後退し、超高層マンションが出現し都心回帰が進み、世間の流行も大きく変化した。住環境がよい八潮パークタウンとはいえど、駅までは遠くバスを利用する住民が多いほど交通の便は悪く、住民の高齢化は加速しつつある。

​しかし、レトロなものが再び人気になるように、時代は常に変化する。八潮パークタウンが再び羨望の眼差しで見られるようなニュータウンになることを、切に願う。

まとめ

まとめ

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