神奈川県の横浜市と大和市に跨がる、神奈川県営いちょう団地。
そこは、歴史的経緯で多国籍な住民が暮らす、唯一無二の団地。
この団地ではきょうも、さまざまな言語の「こんにちは」が聞こえる。
【住所】神奈川県横浜市泉区上飯田と大和市下和田
【交通】小田急江ノ島線高座渋谷駅より徒歩約20分程度
【戸数】横浜市側2,238戸、大和市側1,394戸
境川を挟み、横浜市泉区上飯田と大和市下和田に広がる神奈川県営いちょう団地。この団地は大和市側にインドシナ難民を受け入れる「大和定住促進センター」があった関係で、比較的初期の頃から移民が目立つ団地となった。
About
団地概要
Portrait
作品撮り
スパイス薫る、団地の夢。
外国籍住民が多いいちょう団地。団地を歩くと、パクチーやスパイスなどの独特の香りに包まれる。無機物的で表情のない団地と、住民の放つ有機的香り。このアンバランスなマッチが、独特の空気感を醸し出す。
Danchi
団地めぐり
世界は、平和になれるのか。
神奈川県営いちょう団地。現在、全体の住民のうちの約2割が外国籍の住民であり、ラオスやベトナム、中国など10か国の住民が暮らす。
なぜこの横浜の端っこの団地が、このように国際化が進んでいるのであろう。
それは、近年まで大和市の直近に”インドシナ難民”の受け入れを行っていた「大和定住促進センター」があったことが要因と考えられる。
ここで日本暮らすための基礎を学んだ難民が、近隣のいちょう団地に在住するという流れだ。
現在では、その他移民も増加傾向にあり、まさに「リトルベトナム」といった趣だ。
Danchi In Yokohama
横浜市側
高層棟から低層棟をのぞむ。
神奈川県英住宅の一般的な低層棟。
棟間の敷地は畑溶かした部分も多い。
独特なスパイスの香りが漂う。
横浜市泉区上飯田側より。
神奈川県営住宅の一般的な高層棟・低層棟の構造であり、境川を挟んで高層棟がバランスよく配棟されている。横浜市側は住棟間のスペースが菜園と化している部分が多く、みんなご飯にスパイスを使っているのか、ベランダからは独特な香りが漂っている。
大和市側の住棟。
神奈川県営団地の標準的な高層棟。
高層棟と低層棟。
給水塔と低層棟。
大和市下和田側より。
神奈川県営住宅の一般的な高層棟・低層棟の構造であり、境川を挟んで高層棟がバランスよく配棟されている。また大和市側は低層棟にもエレベーターの設置が進んでおり、エレベーター塔が等間隔に並ぶ住棟の形状は圧巻である。
Danchi In Yamato
大和市側
Archive
アーカイブス
いちょう団地に在住する外国籍住民のルーツである「インドシナ難民」。
1975年、ベトナム・ラオス・カンボジアが社会主義体制に移行したことにより迫害を受ける恐れがあり亡命した人々のことである。
いちょう団地では定住促進センター経由でそうした移民が多く住む区画となっているが、自治会などの弛まぬ努力の結果、外国籍住民が自治会に参加するほど共存している。
共存とはなにか。共生とはなにか。いちょう団地はそんな疑問に「一つのモデル」を示しているのであると思う。